「お宝」となったミニカーが満載の店内
喫茶店を出ると、夕方に近づき幾分か厚さはやわらいだ気がした。
「ミニカーショップコジマ」は、やまぼうしから5分くらい歩いたところにあった。
グレーのカーペットの落ち着いた店内はおもちゃ屋さん、というより車のショールームも思わせた。
▲ミニカーショップコジマの店内
壁際にぎっしりとミニカーが並んでいたが、息子、というより僕の方が対象年齢のようだ。
リアルに30年前に僕が持っていたトミカのミニカーがわんさかあった。
ショーケースには、僕の世代よりさらに遡り、今は「お宝」となったミニカーが驚くような値で飾られてある。
お宝は1960年代から70年代のものが多く、お客さんも平均年齢は50~60代だとご店主が教えてくれた。
「カッコいい車がたくさんでた、車のアツイ時のものです」
僕と同い年くらいに見えるハツラツとしたご店主だった。
とてもお詳しかったので、趣味が高じてお店を…という流れかと想像していたが、
2代目で75歳になる先代の父親も今も現役でお店に立っているという。
30年前にコレクターに向けのミニカーに目をつけた先代は先見の明があったのではと勝手に感心した。
しかも昔は小売だけでなく、自社でメーカーとしてミニカーを作り、販売もしていたというから、さらに驚いた。
▲90年頃までお店で生産していたミニカー
我を忘れて僕の方が熱くなってしまったが
息子はお目当だった「アールエスゼロイチ」こと「ルノースポールR.S.01」や、
同じルノースポールの車を熱心に眺めて続けていた。
▲ルノースポールの種類は他にもたくさんある
「この車に乗ってる人、見たことある?」
数々のルノースポール車のミニカーから目は離さず、おもむろに息子は尋ねてきた。
「ないなぁ…どうして?」
「会って、友達になりたい」
「友達になって、乗せてもらうのか?」
息子は、腑に落ちないような顔になった後、言った。
「カッコイイ車に乗ってる奴は、カッコイイ奴だから、友達になりたいのさ」
いきなり7歳の息子から飛び出した、銀幕映画のセリフみたいな言葉に、僕は息子を凝視した。
そんな僕を尻目に、息子は2,000はあるという店内のミニカーを見続けた後、
値段も知らないくせにちゃんと高値のものを欲しがった。
息子は、ちゃんとわかってる。
ひそかに息子に一目置くようになった男2人の休日だった。
クールシェア モデルコースとは
猛暑日の電力消費ピーク時における、家庭の節電を目的とした企画「クールシェアしながわ」。
暑い日に涼しく過ごせるお店や施設(通称:クールシェア スポット)を巡るモデルコースを、エリア別にご紹介しています。
ぜひ参考にしてみてください!
※「クールシェアしながわ」は品川区商店街連合会が、品川区とクールシェア事務局協力のもと行っています。